2014年10月、NMB48の中心メンバーだった山田菜々の卒業発表に、誰もが耳を疑った。だが、彼女には引き際の美学と確固たる信念があった。一人になった日々と、古巣の後輩たちへの思いを語る。

先のことは考えなかった、前を向けば世界は広がる

――NMB48を卒業したのが15年4月でしたね。

山田 1年半以上が経ちました。今はもう当たり前になっているけど、最初のうちは一人ということに慣れなくて、孤独を感じていました。

――どんなときに孤独を感じますか?

山田 やっぱり一番は楽屋ですね。前までは女の子がたくさんいてワチャワチャしたところにいたので、楽屋がシーンとしていると寂しさを感じます。一人でごはんを食べることなんて滅多になかったし。

――四六時中誰かと一緒にいたわけですもんね。

山田 あと、東京で一人暮らしをはじめたんですけど、こっちに友達もいないし、家に帰っても誰もいないじゃないですか。それも寂しかったです。

――ペットは飼ってないんですか?

山田 飼ってないんですよ。だから「ただいま!」って言っても何も返ってこないんです。電気も真っ暗だし(笑)

――NMB48時代も、東京には仕事で頻繁に来ていたのでは?

山田 月の半分くらいは東京でホテル暮らしでした。1か月くらい大阪に帰れないときもあったので、大阪で仕事があると「ああ実家に帰るんや」っていう感覚で。だから、ホテル暮らしの延長で一人暮らしも大丈夫やろって思っていたけど、やってみると「あれ?……孤独やん!」って(笑)

――たよれる仲間もいないわけですもんね。

山田 たまに妹が遊びにくるくらいで。切ないわあ〜(笑)。でも、東京生活にも少しずつ慣れてきて、1年半前と比べると今はすごく楽しいですよ。

――山田さんは、将来のビジョンが明確にあったからこそ卒業を決断することができたんですか?

山田 卒業を決めたときは……イチかバチかっていう感じでした。

――そうだったんですか!

山田 「絶対、私はこうなる!」とかじやなくて、漠然と「いろんなお仕事をして楽しく過ごしたい」っていうのが先にありました。

――とりあえず今の環境を飛び出して、あとは「なるようになれ!」と。

山田 そうなんです(笑)。あとは、自分のなかで「売れているときに辞めたい」と思っていました。

――絶頂期に惜しまれつつ辞める、みたいな?

山田 そう!惜しまれたかったんです(笑)。ファンの人に「悲しい!」って思われたくて。もともとモーニング娘。さんが大好きで、後藤真希さんとか「えぇ〜もう卒業しちゃうの!?」と思いながら見ていたのもあったんですけど、私もパッと辞めたかったんですよ。

――でも、人生の一大決心ですよね。卒業後に活躍できる保証もないわけで。ある程度、先が見えないことには踏み出せないような気もします。

山田 普通はそうですよね。でも、私の場合、不安よりも「よし、楽しんで頑張ろう!」っていう気持ちの方が強かったから、あまり卒業後のことは考えてなくて。「やってみよう!」って思い立った感じなんですよ。人生、ずっとそんな感じで生きてきたので。だから、これから先も怖いです。思い立ってすぐに「芸能界を辞めます!」とか言うんじゃないかと思って。

――突発的に辞めてしまうかもしれない(笑)。そういう性格だと周囲の人に「冷静になれ」「考え直したほうがいい」って引き止められませんか?

山田 引き止められましたね。最初に「卒業したいです」って言ったときは「もうちょっと考てみたら?」みたいな感じで、普通に流されました(笑)

――ですよね。「一時の気の迷いだろ」って。

山田 最初に伝えてから卒業までは1年くらいでした。まあ、そんなにしつこく「卒業したい」って言ってたわけでもないので、冗談半分に思われていたかもしれないですけど。でも、卒業してよかったです。

――未練は一切ない?

山田 やっぱり、その当時できなかったお仕事ができるようになるのもあるし、いろんな可能性も広がったと思います。

――今春には主演映画『マスタード・チョコレート』も公開されますね。

山田 すごく楽しかったです。台本を読みながら「このシーンってこんな気持ちなのかな?」って考えている時間が楽しくて。ふだんも映画やドキュメンタリーを観ていると感情移入しちゃうタイプで、テレビをつけて1分で泣けちゃったりするんですよ。

――感受性が豊かすぎます!

山田 それを最大限に生かせることができたかなって(笑)

――すぐに役に入り込めるから、完全に女優向きですね。

山田 ……気持ち的には!

――カレンダーの発売イベントでも「よしもとの石原さとみになりたい」と言っていましたもんね。

山田 あれを言っちゃった時点で、バラエティのほうを頑張らなきゃいけないのかなって(笑)

――「なんでやねん!」っていうツッコミ待ちですか(笑)

山田 そうそう(笑)。石原さとみさんのような女優さんが理想ですけどね。

――アイドル時代にはやらなかったような仕事もありました?

山田 ありましたよ。ロンブーの淳さんの番組で(『田村淳の地上波ではダメ!絶対!」)ちょっとエッチなお店に潜入する……みたいな企画をやって。全然つらいとかじゃなくて、こういう世界もあんねやーって思いました。まあいろいろ言われたりもしましたけど。

――「なんで菜々ちゃんがこんな番組に出るんだり」って?

山田 プチ炎上して(笑)。でも、前向きに考えれば、そういう世界を全然見たことなかったので、それもひとつの生き様として知れたのがよかったなって。

――生き様!

山田 そういうお仕事を一生懸命してる人かいるじゃないですか?それに、映画とかでヌードになるのも別に下品なことではなくて、人気女優さんもヌードになっていますよね。もしそういう仕事が自分に来た時、もしかしたら番組で知った知識が役に立つかもしれないので。

――その知識が必要な役柄はかなりの挑戦だと思いますけど(笑)?

山田 映画の中でなら!必要なら、脱ぐ!……かも(笑)。そういう面でも、卒業して世界が広がっているので、あとは、誰かの目に留めてもらえるように頑張らないとなって思います。

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