欅坂46のスタッフと話すと、皆が口をそろえて「小林由依は面白い」と言う。一番近くで見守る大人たちは、彼女のもt意識の高さやアイディアの柔軟性に、驚かされることが多いのだろう。まだ我々が気づいていない領域で、ゆいぽんは静かに燃えている。さみしさや弱さを焼きつくす、彼女の炎に迫る。

こだわりはない

――小林さんのブログには、毎回、冒頭にショートエッセイのような文章が載っていておもしろいですね。

小林 ありがとうございます。何度か書き直すので、ブログを更新するのはけっこう時間がかかります。でも、自分で読み返してみると全然おもしろくなくて。

――そうですか?

小林 冷静に読むと全然おもしろくないです。

――でも、日常生活のなかの何気ない出来事を、ユーモアをまじえて書いていて、文才ある人なんだなと思いました。

小林 本当ですか?うれしい。でも「ブログ」だからだと思います。口に出して読んでも全然おもしろくない。

――あはは。今日すでに3回「全然おもしろくない」を聞きました(笑)

小林 ふふふ。

――謙遜されていますが、実際には発想も構成も素晴らしいと思います。アイドルになる前からブログを書いたり日記をつけたりしていましたか?

小林 いや、そういうことはしていなかったです。

――そうなんですね。昔から作文は得意でしたか?

小林 得意かどうかはわからないですが、書くのは速かったかもしれないです。

――作文の賞をとったりは?

小林 それは何回かあります。

――やっぱりすごいですよ!これまで書いたブログのなかで「この記事は自分でもおもしろかった」というヒットはないですか?

小林 1回だけ、本文がない前フリだけの記事を書いたときがあって。『字宙の仕事』のムロツヨシさんがおもしろいっていうことを書いたんですけど、それはちょっと。

――自分で読んでもおもしろいな、と(笑)

小林 ファンの方の評判もよかったので。でも、それくらいですかね。

――それ以外は「それほどおもしろくない」という認識なんですね。

小林 たぶん冷静に読んじゃうと。でも、最初の頃はそんなにオチとかなかったんですけど、最近は……。

――オチも考えるようになりました?

小林 そうですね(笑)

――本格的になってますね!ああいう文章を書けるということは、洞察力がある人なんだろうと思います。

小林 どうなんだろう?でも、冷静に見ているかもしれないです。

――前回、志田愛佳さんのインタビューで「小林が番組の収録中にメンバーの後頭部を見て、みんなのアホ毛がおもしろかったらしく、それを伝えてくれた」と言っていました。

小林 そうなんですよ。あのときの自分のアホ毛がけっこうすごくて。自分のを気にしていると、ほかの人のも見ちゃうじゃないですか。そしたら、みんなもアホ毛がすごくて(笑)

――小林さんは、年齢のわりに落ち着いていますよね。泰然としている、というか。

小林 ”冷めてる”みたいなイメージを持たれているのかなって思います。

――実際にそういう部分はありますか?

小林 あ、でも「食」とか。欅坂のメンバーって「食」に対する意識が高くて。スマホで「ここの〇〇が美味しいらしい」とか調べていたり、お弁当が出てくるときに「これ美味しいよね!」みたいな話で盛り上がったりしているんですけど、そういうのにあんまり興味がなくて。食べられればいいかな……みたいな(笑)

――胃が満たされれば(笑)

小林 ははは。いいかなあって(笑)

――「好きな食べ物は?」って聞かれたら、どう答えるんですか?

小林 「そんなに嫌いな食べ物がないです」って。

――でも、「そんなに好きな食べ物もない」という。

小林 そうなんですよね(笑)

――こだわっているものはありますか?部屋のインテリアとか。

小林 部屋はとくにこだわりないです。

――女の子って、クッションカバーのひとつひとつにも、こだわるイメージがありますが。

小林 そうですね。でも、全然なくて。お母さんが選んできてくれたものを使っています。

――色のない無機質な部屋に住んでいるイメージがします。綾波レイの部屋みたいな(笑)

小林 え!? でも、けっこう茶色。

――温もりのある部屋ですか?

小林 それになりにあると思います(笑)

さみしくない

――小林さんは、きっと誤解されることが多いんじゃないかなと思います。

小林 そうですね。『欅って書けない?』で、さみしいエピソードが放送された回があって。「クリスマスは特になにもしない」とか「お正月はスーパーのお寿司」とか(笑)。それを見たファンの方には、めっちゃさみしいほうに捉えられているんですけど、逆です。

――逆っていっのは?

小林 どうしたらいいのかわからない、っていうほうです。

――クリスマスなどのイベントごとをどう過ごせばいいか?

小林 クリスマス……って逆に、何するんですか?

――あはは。一般的にはチキンやケーキを食べたり。

小林 ああー。

――そもそも「食」に興味がない人でしたね(笑)

小林 ふふふ。プレゼントもあげたことないです。

――それを見た人は「由依ちゃん、さみしそう」と思うけど……。

小林 さみしくはないです(笑)

――さみしいといえば、加入したばかりの頃、「ぼっちキャラ」みたいなイメージがありましたよね?

小林 あぁ、でも、中学校のときくらいからわりとそうです。人見知りっていうのもあって、自分から輪の中に入ったりできなくて。

――「みんな私のことも構って!」とは思わない?

小林 あるときはあるんですけど、最終的には今はいいかなぁ、ってなりますね(笑)

――メンタル強すぎません?

小林 あはは(笑)。かもしれない。移動教室とかも1人でした。音楽室に行くときに、みんなグループで行ったり、「一緒に行こう?」みたいなのがあったんですけど。

――だからといって、さみしくもない?

小林 移動するだけだし……。

――ですよね(笑)。休み時間はなにしていたんですか?

小林 ボーっとしてました。でも、ぼっちと思われるのはイヤだったので忙しいふうにしてました。「何かやってる」ふう(笑)

――つぎの授業の準備とか?

小林 そうです。散らかっていないのにロッカーの整理をしたり(笑)

――ただ、それも、裏を返せば小林さんのプロ意識の高さだと思うんです。遊びでここに来たわけじゃないし、馴れ合いじゃないわけだから。

小林 学校っぽい雰囲気はあまり得意じゃないので。欅メンバーはそんなことないですけど。

――集団の中で目立つのは苦手だったりします?

小林 うーん……でも、学級委員をやっていたんですよ。自分で立候補して。あと、合唱祭みたいなのでも毎年、指揮者をやっていました。

――めちゃくちゃ目立つ役回りを担っているじゃないですか!

小林 やってみよっかな?みたいな感じでした。

――でも、そういう役割って思春期だと、仮に自分がやりたかったとしてもなかなか手を挙げにくいと思うんです。そこに立候補できるっていうことは、小林さんはまわりに流されない太い芯を持っている人なんじゃないかと思います。

小林 え、本当ですか?

――そうでもないですか?

小林 いや、自分の意見は持っているんですけど、それをバーって主張するほうではないです。あまり多くを語らずに……。

――ことさら「私、頑張ってます」感をアピールすることなく、涼しい顔をしてやりたい?

小林 理想はそうですね。

――完璧主義者だと思いますか?

小林 どちらかと言うと、そうかもしれないです。パフォーマンスに関しては、うまくできない部分があるとイヤなので、できるようになるまでやります。ちゃんとできない自分を認められないので。

――プライドも関係している?

小林 人と比べてしまって嫉妬することもあるけど、でも、そういうのって大抵自分が劣っているからじゃないですか。そもそも「人と比べられるレベルまで達してないでしょ」と思っているので。だったら、その人を羨ましく思ったりする前に、自分がもっと頑張ればいいじゃん、って自分に対して怒っている感じですね。

――ほかのメンバーと比べて、劣っていると思うんですか?

小林 すべてにおいてまだまだな感じがします。「歌」だったら今泉(佑唯)、「ダンス」だったら鈴本(美愉)って感じるけど、私には「これだったら一番できる」というものがないので。

――飛び抜けたものが?

小林 そうですね。今の自分にはまだないと思っています。

――ご自身ではそういう自己評価かもしれませんが、いろんな関係者の話を伺うと、小林さんの評価はすごく高いですよ。

小林 えぇー!どんな!?

――ははは。気になりますよね。

小林 こわい(笑)

――みなさんが褒めているのは、さきほども言った「意識の高さ」です。いい意味で「こだわり派」というか。ちゃんと自分の理想のイメージがあって、自分をどういうふうに見せたいのか明確なビジョンを持っている人だと聞きました。いろいろなことに対しておもしろいアイデアを持っていて、それを自分から伝えてくれる、と言っているスタッフさんもいましたよ。

小林 よかったぁ。ふふふ。

――あと、「この情報は告知していいんですか?」とか「ブログに書いても大丈夫ですか?」というのを一番聞いてくるのが小林さんだ、って。

小林 あぁ〜、それはたしかにありますね(笑)

泣いてはない

――本当はもっとこういう面を知ってほしい、と思っていることはありますか?

小林 でも、自分って、けっこうつまらない人間なのかなって思うんですよね。

――自分の何がつまらないと思います?

小林 人よりもテンションが低いところとか(笑)。そういうのって、つまらない人間って思われる気がして。たとえば、さっきのクリスマスの話で「さみしい」みたいに捉えられているのは「それは違いますよ」って言いたいんですけど、それってつまらないことなのかな?と思って。

――あと、誤解と言えば小林さんは人前でほとんど泣かないのに、なぜか「守ってあげたい」みたいなイメージで見られているじゃないですか。

小林 それはけっこう言われます。でも、なんでかな?って思います。

――泣かないし、あまり弱音を吐いたりもしなさそうですもんね。

小林 そうですね。そんなにないと思います。

――自分が弱っているときに、誰かに話を聞いてもらいたいとは思わないですか?

小林 どうなんだろう?でも、自分で解決することのほうが多いので、あんまり人に相談しないかもです。

――どんなときに泣きますか?

小林 泣くのは、ほとんど悔し泣きです。自分がうまくできないふがいなさに対しての涙です。

――ファーストワンマンライブのときは泣かなかったですか?

小林 最後、菅井(友香)ちゃんがMCでしゃべっているときには感動しました。

――泣いてない?

小林 はい(笑)。でも、感動はしましたよ。

――映画を観て泣くこともないですか?

小林 映画で泣いたことはないです。

――『ハチ公物語』でも?

小林 ふふふ(笑)。でも、ストーリーで泣くというよりは、女優さんの泣く演技がすごく上手くて、その泣きじゃくっている姿につられる、っていうことはあります。この前、テレビで『ツナグ』やっているのを観ていて、そのときに……。

――泣いたんですか?

小林 泣いてはないです。

――そうやすやすとは泣かない。

小林 ふふふ。でも、ジーンと。「泣いてない」って言うと、誤解されやすいところに行っちゃうような気が……。

――感動しているけど、それと涙はまた別ですもんね。

小林 そうです、そうです(笑)

――先ほど「人よりもテンションが低い」と言っていましたが、小さい頃からそうなんですか?

小林 いや、昔は、今よりはもうちょっとテンション高かったかもしれないです……

――最近、飛び跳ねてよろこんだことはありましたか?うれしすぎて思わず大声を出しちゃったとか。

小林 えぇーあったかな?忘れちゃいました。でも、そういうのは大体1人のときですね。

――ちなみに、小林さんが一番好きな映画はなんですか?

小林 一番好きな映画?一番好き……な!?

――生涯ベスト作品はないですか?

小林 ベスト……ベスト?

――悩んでますね。

小林 いや、どこまで達したら自分が「好き」って言えるのか、その基準がわからないので、出てこないんですよ(笑)。おなじ作品を2回観たら、それはハマってるかも?っていう感じはするじゃないですか。でも、おなじ映画を2回観たことがないので、それが「好き」なのかどうかがわからないです。

――なるほど。リピートして観てもいないのに、その程度で「好き」と言ったらおこがましいと。

小林 そんな感じです。軽々しく「好き」と言えない人(笑)

――やっぱり小林さんおもしろいですね。

小林 「こういう人でしょ」って言われると、否定したくなっちゃうんです。「いや、違うと思います」って。

――またインタビューさせてください。

小林 それまでに「好きな映画」を決めてきます(笑)

――今日はありがとうございました。

小林 ありがとうございます。(窓の外を見て)雪降ってますか?

――あ、本当ですね!テンション上がりました?

小林 えっ!? あっ……どうなんだろう?

――あはは。変わらないですか?

小林 自分でもわからない(笑)


小林由依 1999年10月23日生まれ、埼玉県出身。愛しさと切なさと心強さとを兼ね備える、織田奈那の生きる希望。織田いわく、小林(天使)からはマイナスイオンが放出されており、それを浴びると自分も天使になれる気がするらしい。織田奈那ファイト!愛称は「ゆいぽん」。