仲良しだけど互いがライバル、大所帯のアイドルグループにとって今やそれが当たり前。だが、それだけでは見ている者にとって物足りないのも事実だ。これまで本誌が注目してきた込山榛香の物語に、新たな登場人物として加わった福岡聖菜。眠っていた彼女から溢れ出る感情が、15期生のストーリーに深みを与えてくれる。

3人揃った生誕祭

――AKB48の15期生というと、中心メンバーは込山さんと向井地(美音)さんというイメージがあるのですが、今年に入ってからぐっと福岡さんの存在感が増してきた印象を受けます。しかも、込山さんと向井地さんの関係性の中に福岡さんがぐいぐい食い込んできていますよね。福岡さんは今年の総選挙以降「もっと誰かのストーリーに入っていきたい」と発言する機会が増えましたが、そのためにはどうすればいいのか、すごく意識的に活動しているように感じます。そして、込山さんと向井地さんもそんな福岡さんの気持ちをちゃんと汲み取ろうとしていて。

込山 おおっ!

福岡 うれしい!

――そういう状況の象徴として、込山さんが仕切りを務めて向井地さんがお手紙を書いた8月26日の福岡さんの生誕祭はすごく重要なイベントだったと思うんです。

福岡 もうすごくうれしくて……まさか、こみが出られるとは思ってなくて。

込山 聖菜の生誕祭って聞いて「それはもう絶対に出させてください!」って(笑)。出演する以上はやっぱり仕切りもやりたいし、マネージャーさんからお手紙は誰がいいか相談もされたから「もうここは美音しかいない!」と思いました。

福岡 ずっと「こみと美音のストーリーのなかに入りたい!」って言ってたから、美音が「せいちゃんは私にとって欠かせない存在であり、支えです」と書いてくれたのにすごく感動して。いままでメンバーと深く関わることが全然なかったんですけど、こうしてそういう関係ができたことが嬉しかったし、影響力がある存在になれているのか、本当に心配だったんです。

込山 もともと私のなかでの聖菜は冷めた性格のコっていう印象だったんです。去年の総選挙では私も聖菜も速報ではランクインで来たけど、結果的に圏外になってしまって。私としてはこの不安を分かち合えるのは聖菜しかいないと思ったから、壇上で聖菜に「もうつらいから(バックヤードに)はけようか?」って話しかけたら「えっ、なんで?」みたいな反応でちょっと温度差を感じてしまったんですよね。

――込山さんのドキュメンタリー(『AKB48裏ストーリー3〜込山榛香17歳、新たな希望』)には総選挙の開票イベントの壇上で放心状態の込山さんが北原(里英)さんに介抱されている印象的なシーンがありましたが、その前に福岡さんとそんなやり取りがあったんですね。

込山 私は何も考えずにすぐ行動に出ちゃうんですけど、逆に聖菜は周りをすごく気にする性格で、行動する前に一旦考えるタイプなんですね。ただ、考えて考えて結局行動に出ないこともすごく多かったんです。今年の総選挙の時は聖菜とホテルの部屋が同じだったんですけど、聖菜に「私のドキュメンタリー、どうだった?」って感想を聞こうとしたら「まだ見てない。見る勇気がない」って。

福岡 そうなんです……なんか見るのが怖くて。

込山 それで「もうこの際だから一緒に見よう!」ということになって。で、しばらく2人で見ていたら聖菜がすごく静かだから「どうしたんだろう?」と思って隣を見てみたら……聖菜のところに大きな水たまりができていて(笑)

――フフフ……号泣していたわけですね。

福岡 やめてー(照笑)

込山 ちょっと前まで、聖菜とは仕事の話とか全然しなかったんですよ。私がなにか意見を言っても聖菜はただ聞いているだけで、自分の思っていることをほとんど言ってくれなくて。だから「聖菜はあまり考えていないのかな?」って思っていたんです。でも本当は聖菜もすごく考えていて、総選挙の前日に「聖菜が熱い気持ちを持っていることはファンの方もメンバーもみんな知ってるし、周りを気にしないで一度自分の思いを全て吐き出して欲しい」って伝えたんですね。そうしたら、総選挙当日に聖菜が今まで見たことがないぐらい人目を気にせず涙を流していて。その後もGoogle+やSHOWROOMで自分の思いを包み隠さず話していて……ん?聖菜、どうしたの?

福岡 (目にいっぱい涙を浮かべながら)なんかもう泣きそう……

込山 (福岡の頭を撫でる振りをして)せいちゃーん!

福岡 やめてよもー(照笑)

込山 これまでは生誕祭みたいな場でも聖菜の口から目標を聞いたことがなかったんですけど、ここ一年ぐらいでお互いの考えをちゃんと言い合えるようになれて。だから、この前の生誕祭でたくさんのメンバーとファンの方がいる前で「来年の総選挙ではアンダーガールズに入りたい!」って初めて大きな目標を語っている聖菜には、すごく成長を感じましたね。

福岡 今年はファンの方が「生誕祭は絶対に盛り上げるから!」って言ってくれたのがすごく励みになって。そこで私がどんなことを言うのか、期待されているのもすごく感じていたんですね。だから「アンダーガールズに入りたい!」って言おうと思ったんですけど、やっぱり直前まですごく悩んで……それで美音にLINEで「言っちゃってもいいかな?」って相談したら「いま言うしかないでしょ!」って背中を押してくれて。これまでは「どうせ私なんて」って思うことが多かったんですけど、もうそういうふうに考えるのはやめたかったから思い切って言いました。

当事者意識

――福岡さんは以前に「がんばる」という言葉が嫌いだってGoogle+に書いていましたよね。

福岡 そうですね。

――そのモードが切り替わったのはなにかきっかけがあったのでしょうか?

福岡 去年10月に初めて舞台(劇団TEAM-ODAC第19回本公演『僕らの深夜高速』)に出させていただいた時、もともとアイドルだった先輩から「AKB48の一員であることにもっと誇りを持ったほうがいい」って言われたんです。それまで私はグループに対してちょっと客観的な態度を取り過ぎていたんですけど、そのアドバイスがきっかけになって少しずつ意識が変わっていきました。

――先ほど話しに出ましたが、込山さんのドキュメンタリーをなかなか見る気になれなかったのはなぜですか?尊敬している込山さんはもちろん、自分も含めた15期生が大々的にフィーチャーされてるわけじゃないですか。

福岡 こみは私がずっと目をそらしてきたものに対して正面からぶつかっていくタイプだから、そういう自分が逃げてきたものを突きつけられるのが怖かったし、恥ずかしかったんです。いままでの冷めすぎていた自分がすごくイヤで、こみのことも好きだからこそ見られなくて。

――そんな福岡さんも、今年の総選挙では初めて当事者意識を持って臨むことが出来たと話していました。

福岡 あんなに泣いたのは人生で初めてでした(笑)

込山 自分の感情に素直になったんでしょうね。

福岡 私はお姉ちゃんがいるんですけど、お姉ちゃんがは私と違ってすごく自分の主張が強いタイプなんですよ。服を決めるときもお姉ちゃんがピンクを選んだら、私も本当はピンクが好きなんだけど「じゃあ水色でいいや」って。

――空気を読んでしまうんですね。自分が我慢すればこの場は丸く収まるんだって。

込山 そう、聖菜は空気を読み過ぎちゃうんですよね。そうやって感情を抑えこんでしまう聖菜と違って私が熱すぎるせいもあったのかもしれないですけど、最初のうちは特に仲が良かったわけでもないんですよ。私が聖菜に怒ることもたびたびあって。

福岡 こみには結構怒られてましたね(笑)

――フフフフ。特攻隊長の込山さんらしいですね。

込山 はい(笑)。でも、言わないと伝わらないと思ったんです。聖菜もここ1年ぐらいですごく意識が変わって、舞台のときも一人だけ残って率先して指導を受けていたりして。握手会もがんばってるし、聖菜から刺激をもらうことが本当に増えました。

――福岡さんは込山さんのドキュメンタリーに自分があまり映っていなかったことをすごく悔しく思っていたそうですね。

福岡 自分はこみの近くにいる存在だと思っていたんですけど、もしかしたらこみに対してあまり良い影響を与えられてないんじゃないかと不安になってしまって。

――「もっと誰かのストーリーに入っていきたい!」と思うようになったのは、それがきっかけになっているんですか?

福岡 それもあります。あと、誰かと接するときに「私がこのひとと関わったら周りの人はどう思うだろう?」って考えちゃっていたんですよ。

込山 えーっ、なんで?

福岡 周りの目を気にしすぎていました。居残って練習するのにしても「ひとりで練習してなにやってんだよ」みたいに言われたらどうしようとか。

込山 そんなこと誰も思わないよ!

福岡 うん。最近になってやっとそうじゃないんだっていうことが分かってきました。周りの目なんて別に気にしなくていいんだって。

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