グループで生き抜くために必要な要素である、個性と協調性の共存。選抜メンバーに選ばれるための資格とも言える、誰もが認める努力と才能。その全てを十分すぎるほど有している二人だが、それでも上り坂の中で悩みに悩んだ1年間だった。私たちに行くあてはあるのか?その答えがここにある。

舞台と映像

――今年「BUBKA」では、いろんな乃木坂46さんの記事をやらせていただいたんですが、中でも好評だったのが伊藤さんと井上さんのソロインタビューだったんです。

二人 えー!

――おふたりの言葉は嘘がないから面白いんですよね。それぞれのソロインタビューも本音で話している感がもろに伝わってくるから、大きな反響があったんだと思います。

井上 言いたいことは全部言っちゃうタイブですし。

伊藤 言葉を選びすぎると嘘になっちゃうから。嘘を言ったところでインタビューの意味がないと思うし(笑)。でも、そんなに反響があるほど読んでくれてるんだっていうのは、嬉しいですね。

――編集部に届くアンケートハガキにも、おニ人の対談を望む声が溢れていたので、今回の対談をオファーさせて頂いたんですけど、外から見ていると、おニ人には境遇が似ている部分があるように感じます。例えばアンダーと選抜を行き来するところも似ていて、そういっ点でも絆みたいなものがあるのかなと感じるんですけど、実際のおニ人はどういっ関係なんですか?ライバル?同志?

伊藤 やりたいことは近いよね?

井上 うん、近いけど……。

伊藤 ちょっと違う。でも、似てたりもするから……競争はしてるのかな?

井上 考え方は一緒だと思う。目指してる場所は若干違うけど。

――微妙な違いがありそうですね(笑)

井上 私は舞台をやっていきたいんです。映像が苦手だという気持ちがあるので(笑)。アイドルとしての自分もちゃんと確立していたいので、乃木坂として外に出ていく中で、アイドルとして芝居もやっていけるような人間になりたいんです。

――僕らからすると、あれだけ舞台で良い演技をする井上さんなら、映像でも同じように良い演技を出来るように感じてしまうのですが、映像の難しさとはどういう部分なのでしょうか?

井上 映像の時は、細かい感情がよく分からなくなってしまう時があって。監督に「はいカット!もう1回!」って言われても、何がもう1回なんだろう……って思っちゃうんです。

――なるほど。舞台だと「もう1回」っていうのが、ないですもんね。

井上 私は舞台に立って、その日のお客さんの様子を見て「今日はこうしよう」とその場で考えながらやっていくのが楽しくて。でも万理華にはすごくキッチリした芝居のプロセスがあって、自分である程度考えてからそこに立つんです。それに万理華は表情で演技をするのがすごく上手で、言葉のちょっとしたニュアンスとかそういう繊細な芝居が合ってる。逆に私は、体とか発声とか使ってしまうので。

伊藤 逆に私は舞台が苦手で、映像が好きなんです。小百合を見てると「ここが舞台向きなんだな」とか特に感じちゃう。私は腹から声を出す発声の仕方ができないんですよ。「犬天(すべての犬は天国へ行く)」と、この問の「墓場(、女子高生)」を一緒にやった時もそれを感じました。

――伊藤さんは実際に、今カメラがこれくらい自分に寄って撮ってるとか、光の入り方だったりとか、そういうのもある程度、考えながら演技をしてるんですか?

伊藤 把握してます。絵コンテだったりも、自分なりに想像しながらやっていますし、撮影後に自分が演じたシーンを全部構成して、頭の中で完成させるんですよ。自分の想像の中だと、このカメラワークだったなっていうのを思い出しながら。

――すごいですね。演者としてだけじゃなくて、制作側としての目線みたいなものも持ってるんでしょうね。

伊藤 完成が楽しみだなって思って、私が勝手に作っちゃうっていう。演者としてそれが良いのか、悪いのかは分からないけど……好きだからやってる(笑)

――その「好きだからやってる」っていうマインドが、伊藤さんのクリエイティブな才能の核になっている部分なんでしょうね。今の演技の話で思ったんですけど、乃木坂って自分の趣味や特技を活かす、多種多様性が売りのグループなんじゃないかなと。そういう意味では、伊藤さんと井上さんは乃木坂というグループを体現しているニ人だと思うんです。

二人 嬉しい(笑)

伊藤 でもモデルとかほかのメンバーと比べると、私たちの活動は印象に残りにくいのかなって。

井上 舞台の場合は芝居が好きか私のことが好きな人じゃないとなかなか観てもらえないので。でも、お芝居が好きとかその原作が好きという人に対して乃木坂に興味を持ってもらえるという点では、役に立ててるのかなと思います。

伊藤 私もアイドルとまったく無縁の『月刊MdN』を通じて、逆に乃木坂で私だけ知ってるって方も増えてきたし。

――伊藤さんの「自分の趣味や才能を活かして仕事にも繋げる」って、実際はすごく難しいことだと思うんですよ。趣味って言っても「〇〇が好きなんです」って言うレベルの話だったら、仕事には繋がらないわけじゃないですか。

伊藤 私はそうはさせない!(笑)

――そうですよね(笑)。それは本当にすごいことだと思います。

井上 うんうん。

――井上さんの舞台での活躍も含めて、お二人の存在が乃木坂の活動の幅を相当広げてるような気がしますよ。

苦悩の期間

――とはいえ、この1年間はけっこう悩んだんじゃないかなとも思っていて。改めてこの1年を振り返ってみて、どうですか?夏に行ったソロインタビューの時も、色々と赤裸々に悩みを話してもらいましたけど。

井上 個人的には……前のソロインタビューの時は、本当にダークサイドに落ちていた時期だったので(苦笑)。一生懸命ポジティブに捉えようとは思ってたんですけど、もう前がどこだかわからなくなっていて、それが長く続いていたんです。とはいえ、ありがたいお仕事もたくさんいただいたので、そういう意味では種蒔きの時期だったのかなって。

――井上さんが悩んでた時、伊藤さんに励まされたこともあったんですよね。

井上 「(私も落ち込むから)やめて!」って、本気で怒られた(笑)。今年前半、私がずっと舞台をやってた時に本当につらくなって、万理華に「お願い、ごはん行こう」と言って。それで話を聞いてもらって、頑張ろうって気持ちになったんですよ。3つの舞台を頑張って切り抜けたと思ったら……選抜から落ちてしまって。

伊藤 私は、それがちょっと疑問だったんです。

――それはどういうことですか?

伊藤 私はさゆが一生懸命頑張ってたのも知ってたから、「ここで落ちるの、違くない?」って。逆に私は、落ちる理由がなんとなくわかってたから全然受け入れていたけど、なんで一緒にこういう形になったんだろうって……

――おふたりの立ち位置ってたしかに難しいなと、客観的に見て思っていて。二人ともスキルもあって個性もあって、ちゃんと自分を持っている。なのに常に選抜にいるわけじゃないっていうところでは、乃木坂で一番難しい立ち位置のニ人じゃないかと。

井上 やっぱりボジションって、上にあがったら「頑張ったね」、下にさがっちゃったら「残念だね」と言われるんです。その過程ではなくて結果がすべてみたいなところがあって、どんなに私が頑張ったって、ポジションがアンダーだったら頑張ってなかったと見られてしまうし。

伊藤 そういう捉え方になっちゃうのは仕方ないけど、そうじゃないんだよっていう。全体のレベルが上がってるというのもあるけど、そのせいにしちゃいけないといっのもある。難しいです。

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