2月にデビュー5周年を迎える、乃木坂46。最新シングル「サヨナラの意味」が初のミリオンセラーを記録した今、次に向かうのは、果たしてどんな場所なのか。若月佑美が、現在地とその先を語った。

大きな爆発のためにも今は小さな努力が必要

――今日は、デビュー5周年を迎える乃木坂46の現在地と、これからの行き先を確認したいと思うんですが、本題に入る前に昨年後半の大きなトピックスを振り返っていきたいと思います。まずは「サヨナラの意味」がミリオンセラーを記録したことについては、どう感じていますか?

若月 正直、びっくりしましたね。ただ、3期生が本格的な活動を開始する前に、1期生と2期生でミリオンを達成できたらいいよねっていう話は、メンバーと話してはいたんですよ。

――結果、その思いが叶いましたね。

若月 数字にこだわりを持ちすぎたらいけないのかなって思うし、ミリオンを達成したから私たちの何かが変わったわけではないけど、励みと自信になったと思います。

――昨年12月には、日本武道館で3期生のお見立て会が開催されました。

若月 私もお見立て会を見に行っていたんですけど、率直な感想としては、客観的に見てルックスのいいメンバーが集まったなっていう印象が強いです。あと、すごいなって思ったのは、例えば欅(坂46)ちゃんたちともまったく違う、何か新しい雰囲気をすでに持っていることですね。

――そして、大晦日には2年連続で紅白歌合戦への出場を果たしました。

若月 2回目の出場だったので、いい意味での余裕がちょっとだけ生まれていたと思います。初出場のときは、とにかく無心でパフォーマンスをした感覚で、あの瞬間のことは何も覚えていないぐらいなんです。でも、今回はリハーサルの時点から楽しみたいっていう気持ちが強かったし、あのステージで一番新しいンングルの『サヨナラの意味』をパフォーマンスできたということも、本当に良かったと思います。あとは、なんだろうな……メンバーー人ひとりの気持ちが、2回目の紅白では違っていた気がしていますね。

――それは、どういっ意味ですか?

若月 もちろん、パフォーマンスに関して、しっかりと1つになりたいという気持ちは一緒だったと思うんですけど、そこにプラスそれぞれの個人的な思いも、2回目の紅白ではあったというか。例えば、遠くに住んでいる家族に届けたいとか、いつも支えてくれている友だちに伝えたいとか、3期生にしっかりした姿を見せなきゃいけないとか、グループとして初出場を目標に掲げてそれを果たした一昨年と違って、各々の思いがそれぞれあった気がします。

――今、かつては紅白出場がグループの目標だったという話が出ましたけど、昨年はミリオンセラーという目標も達成し、待望だった3期生も加入しました。特に、紅白出場やミリオンセラー達成という目標は、ファンも一緒に共有しながら紡いできた乃木坂46が描く物語の大きな要素だったと思います。

若月 確かに、そうですよね。

――ここからが本題なんですが、そういう大きな目標を達成した今の乃木坂46はどういう状態で、これからどこに向かっていくと思いますか?

若月 まず、今の乃木坂46についてなんですけど、グループ内の雰囲気を一言で表すと”平和”です。メンバーが自分のいいルーティンを作り上げることができているし、周りとの関係性もしっかりと築けている。グループとしての目標も着実に達成してきていると同時に、個人としての活動も充実してきた。だから、みんな心的にはすごく落ち着いていて、仕事と向き合ったり、ファンのみなさんの気持ちを考えたりということが、今まで以上にできるようになったなって。ただ、安定も大事だけど、何か爆発を起こすようなこともしかけていかなきゃいけないねっていう話は、メンバーとはしています。

――平和で穏やかな雰囲気だけど、決して燃え尽き症候群ではない?

若月 それは、まったくないです。みんな、満足しないというか、野心がなくならないというか。ずっと、もっとがんばらなきゃいけない、もっと実力をつけなきゃいけないって。

――いろんな目標を達成しても、そういう気持ちを持ち続けられる理由は、何か思い当たりますか?

若月 乃木坂46って、メンバーがメンバーを尊敬しているグループだなって私は思うんですけど、だからなのか、自分以外のメンバーが出演している番組とかをよく見るんです。その中で、メンバーの姿を見て、自分に足りないものに気づくことが多いんですよね。そうやって足りないものに気づけるから、また努力するし、もっと実力をつけたいと思うんじゃないかなって思います。

――なるほど。

若月 だから今は、グループとして大きな爆発を起こすためにも、個人個人が小さな努力を重ねていく時期なのかもしれません。火力に例えると、弱火というか。弱火だからこそおいしくできる料理があるように、今はじっくり行こうよって感じなのかな。ただ、強火で勝負する料理もできるようにしたいなっていう。なんか、よくわからない例え!私、お腹が空いているのかもしれない(笑)

――爆発を起こすような何かについて、具体的な話は出ていますか?

若月 1回でもいいので、誰もが知っているヒット曲が出したいねっていう話は、メンバー同士でしていますね。

――それは、ファン以外の人でも口ずさめるような意味でのヒット曲?

若月 そうです。それこそ、カラオケでもたくさん歌われるような、みんなが知っているヒット曲。ありがたいことに、今は乃木坂46という名前はたくさん知っていただけるようになってきましたけど、好きな曲を聞くと、本当にバラバラなんですよね。それはそれで、うれしいんですけど。

――乃木坂46には、シングル曲はもちろんですけど、カップリングやアルバムにも名曲が多いですからね。

若月 もちろん、それは乃木坂46の魅力だと思うので、いろんな曲を好きでいてもらいつつ、でもこの曲は誰が選んでも名前が挙がるよねっていう曲ができたら、それは私たちにとって新たな強みになるんじゃないかなって思うんですよね。

――では、ファンも共有できるような、新たな夢はありますか?

若月 1つは、ドームコンサートですね。まだ1回もドームのステージには立てていないので、いつかは。

――今後は連続ミリオンセラーも期待されると思いますが、それはグループとしての目標になってきますか?

若月 こんなことを言うと怒られそうですけど、私自身はそこにはあまりこだわっていません。もちろん、連続ミリオンセラーが達成できたらうれしいし、本当にありがたいですけど、そういった数字としての記録より、もっと大事な何かが伝わっていたら、そのほうがいいかなって思います。去年は、桐谷健太さんの『海の声』がヒットしましたけど、あんなふうにいろんな人がいい歌だって感じて、たくさんの人に歌われて、その結果ヒットしていく形って、1つの理想だなって思います。乃木坂46の歌も、そんなふうに浸透していった結果、最終的にまたミリオンセラーを記録することができたらと思います。

――乃木坂46は、AKB48の公式ライバルグループとして結成されましたけど、ここから先の道はどうなっていきそうだと思いますか?

若月 私たちは、紅白出場やミリオンセラーという目標は達成しましたけど、それはすでにAKB48さんが達成してきた道でもあって。今、乃木坂46がAKB48さんに少しでも追いつけたとか、これっぽっちも思えないですけど、少なくともこれから先の道については、同じ道を歩んでも意味がないとは思っています。違う道を歩むためにも、何かまったく別の、自分たちらしい魅力を、また新たに作っていけるかどうか。乃木坂46の結成初期に秋元(康)さんに言われたのは、「乃木坂46は、コンセプトがないのがコンセプトだ」っていうことなんです。だったら、もっとなんでもできるはずだし、まだやっていないことだってあるはずだし。これだけアイドルグループがいると、まったく新しい色合いを出すのはすごく難しいとは思うんですけど、今年はそういった部分をメンバーともスタッフさんともたくさん話し合っていきたいと思います。

――その新しい色合いについて、何か手がかりは見つかっていますか?

若月 デビューからもうすぐ5年が経つので、当たり前の話ではあるんですけど、グループ全体の年齢が上がっていて、20歳を超えているメンバーも乃木坂46には多くなりました。そうしたとき、じゃあ私たちは何を見せていこうかって、かわいさとかフレッシュさ、明るさ、元気さではないですよね。むしろ、20歳を超えたメンバーがたくさんいるからこそ出せる落ち着いた雰囲気や女らしさ、ふとした色気とか、今の乃木坂46だから出せる良さがあると思うので、そういった面をこれからは意識的に見せていきたいなって思います。

――結果的にそういった大人の女性ならではの魅力が垣間見える場合はありますけど、はっきりとそこを意識して活動しているアイドルグループは、今はいないかもしれませんね。

若月 明確にコンセプトにしている女性アイドルグループは、きっといないですよね。やっばり、年齢を重ねるごとに自分たちに似合う服も変わってきているし、衣装も以前よりも落ち着いた色になっているので、そういったグループの変化も楽しんでもらえるといいんですけどね。

――初期の衣装は、学園のイメージが強かったですもんね。

若月 今は、もっとドレッシーになっているっていうか。もはや、実際に制服を着ているメンバーが3期生以外ではほとんどいないですからね(笑)。でも、男性のアイドルグループはメンバーのみなさんが年齢を重ねても活動を続けている場合も多いし、逆に年齢を重ねて渋くなった姿がかっこいいっていうこともありますよね。そういう形を、女性アイドルグループでもできるんじゃないかっていう可能性を、乃木坂46が見せていくことができたらいいなって。

――1人の人間が年齢を重ねていくように、乃木坂46もありのままの姿を見せていくことで、新たな女性アイドルグループ像を築いていく?

若月 あえて若いころに戻ろうとはしないですよね。アイドルグループとして、しっかりとした歴史の重ね方をしていけたらいいなって思います。

――デビュー5周年が目前ですけど、いろんなものが1周して、またリスタートみたいな感覚もあります?

若月 ありますね。今まで積み重ねてきたいい部分は残しつつ、また新しく始まる感覚というか。

――1周して、初期と変化して、新しくなった部分は何かありますか?

若月 例えば、挨拶とか。初期は、とにかくもうがむしやらに挨拶をしていたと思うんです(笑)。会う人全員に、大きな声ではっきりと「おはようございます!」って言わなければいけないと思っていたし、それで良かったと思います。でも今は、挨拶の大切さは初期よりも理解しつつ、朝が早すぎる場合は、あまりに高いテンションで挨拶してもおかしいから、「(小声で)おはようございます」って言ったり(笑)。相手のことや場の空気を読みながら、みんな挨拶しているなって思います。

――そういう面でも、大人の女性になっていっているんですね(笑)

若月 そうなんです(笑)。

――今日は、グループの現在地とこれからを話してもらいましたけど、最後に個人としての現在の心境とこれからに向けた思いを教えてください。

若月 今年は、これまで以上に1つ1つのお仕事にありがたみを感じながら、より誠意を持ってきっちりと取り組んでいきたいと思っています。3期生が、加入直後からたくさんのメディアに取り上げていただいていることで思い出したんですけど、私たちがデビューした当初は、2~3週間仕事がないこともあったし、だからこそ1つのお仕事が決まるたびにうれしかったんです。今の乃木坂46は、こうやってソロでグラビアをやらせていただけることも含めて、本当にありがたい状況だと思うんですけど、そういう状況のときこそ、もうー度ありがたみを感じて、誠意を持ちながらお仕事をしなければいけないなっていう気持ちになっています。

――乃木坂46のメンバーとして5年のキャリアを重ね、大きな目標も達成したから、そうした心境にもなっているんでしょうか?

若月 そうかもしれないですね。自分でも、大人になったなって思います!