デビューシングル『ぐるぐるカーテン』以降、全てのシングルで福神入りし、乃木坂46=きれいなお姉さん集団というイメージを象徴する1人だった橋本奈々未。卒業と引退という衝撃の発表を経てリリースされ、橋本が最初で最後のセンターを務める16thシングル『サヨナラの意味』は、グループ史上初となるミリオンを記録。人気の高さを裏付けた。

『サヨナラの意味』の歌詞を初めて読んだときは、私のこととリンクする部分が多くてうれしかったし、実際書いていただけるとこんなに特別なものに感じるんだなと思いました。音楽番組などでパフォーマンスするとき、センターはちょっとカット数が増えるぶんいつもより考えることも多いですが、他のポジションと気持ちの違いはありません。ただ、リハーサルで私のカットから始まったりするのを見ると照れくさいです(笑)

カップリングでソロ曲『ないものねだり』もいただきました。私の声質に合わせてキーを低めに設定していただいたので歌いやすかったです。私の声は他の人と混じるとどこに行ったか分からなくなっちゃうので、ファンの方もやっと私の声が聞き取れるんじゃないかな(笑)

メンバーに卒業を告げたのは『乃木坂工事中』の収録です。ファンの方は「もう卒業?」とウワサしていたので、あっさりした反応なのかなと想像してたんですよ。でも、こんなにも言葉をかけてくれたことに驚いたし、泣いてくれるなんて……全部の言葉がうれしかったです。

まいまい(深川麻衣)が卒業した影響と言う方もいますが、学校の部活動とは違いますから(笑)。それはあり得ません。むしろ私が先に卒業すると思っていたくらいだったので、まさか見送るとは思いませんでした。でも、近くで仲のいい子の卒業を見送れたのは良かったなと思いますね。今もたまに会ってますが、「最後のライブには必ず行くから」と言ってくれています。

儚さ凛としたたたずまいを併せ持つ橋本。淡々とした語り口から芯の強さも伝わるが、この世界で引き出されたものという。「10代の頃は、人と目を合わせられなくてバイトの面接で落ちまくりました。強くなりましたね」と笑う。女優やモデルなど様々な経験をしたなかで、ラジオは楽しめる仕事だったと瞳を輝かせた。

15年から愛聴していたラジオ番組の1コーナー「GIRLS LOCKS!」を担当できてすごくうれしかったです。「決まったよ」と知らされたときは思わず「うそだ」って(笑)。テレビは見ないけどラジオは聴く家庭で育ったこともあり、ラジオは中学生の頃からよく聴いていました。なので、番組制作のスタッフさんからほめていただけると、やっぱり何よりもうれしくて。収録日は今もワクワクします。

逆に、16年にやらせていただいたソロの冠番組『乃木坂46 橋本奈々未の恋する文学』の収録は過酷でした。出身地の北海道にゆかりがある文学作品に描かれた地を私が旅して訪ねるんですが、「冬の旅」編は極寒の中、薄着でいるのがつらくて。私、寒いとブスになるんです(苦笑)。「夏の旅」編はロケ地になぜかハチがいて恐怖でした。夏のツアーと重なっていたので、セットリストや演出を覚えながら課題の書籍を読んだり。とても時間をかけて作った番組で、ファンの方から「よかった」と言ってもらうことも多くて、報われたなと感じました。

すべてが特殊な時間だった

まだ、卒業の実感は湧きません。きっとあわただしい時間を過ごしたまま、卒業してから「あれが終わりだったんだ」って感じるんじゃないかなと(笑)。この5年間で私が乃木坂46でどんな役割を果たせたかは分かりません。メンバーやファンの方が寂しいと感じてくれたり、ぽっかりと穴が開いたと感じる部分があれば、そこが私の果たせたことなのかなと思います。

めまぐるしい時間のなかで、目の前のことをやりきるのに精一杯になり、15年のインタビューでは「夢も目標もない」と言いました。自分自身の新たな夢や目標を持つために卒業する道を選んだのかもしれませんし、前向きに見つけていくつもりです。

漠然と「自分に正直にありたい」と思い続けて生きてきました。それが今の私にとって何よりの目標ですし、ずっと達成していきたい。それを実現するために自分の選択は間違ってなかったと思うし、今後もそれを実現できるよう、日々を過ごしていけたらいいなと思っています。