奈々未さんが「前に出たほうがいい」と教えてくれました

16年10月に舞台「墓場、女子高生」でオカルト部の武田という難役へ挑み、存在感を示した伊藤純奈乃木坂46へ加入前から舞台鑑賞が好きで、「レ・ミセラブル」などを観客として楽しんできたというが、実際に役者として立つことでその奥深さに気がついたという。

勉強との両立が難しくて、これまでの舞台ではオーディションに挑戦しなかったんです。学校の先生と相談しましたが、稽古の時間を考えると「厳しいよね」と言われていました。だから、舞台への出演が決まったときは念願だったし、飛び跳ねるぐらいうれしかったですね。

でも、やっぱり客席で見るのと演じるのとでは、違うんだなと実感しました。一番に思いつくのは、声を出す大変さですね。台本をただ読めばいいだけではなく、遠く後ろのお客さんにも届けるためにどう伝えるのか。稽古ではみっちり鍛えられました。

また、今回の舞台は乃木坂46のメンバー以外の役者さんたちにも囲まれていたから、学ぶこともたくさんありました。カメラ越しとは違い、目立った出番はなくても自分が見られているので、その瞬間にどう表情を作るべきかだったり、乃木坂46の活動では吸収できないこともたくさん学べました。

そのおかげか、11月にはラジオドラマ番組『AKB48の”私たちの物語”』に呼んでいただいて。(樋口)日奈さんと一緒に教室を舞台にした芝居をしたんですけど、舞台経験から自信もついたのか、自分なりにのびのびと演じられたのが思い出深かったですね。

アンダーメンバーの全国ツアーもスタートした16年。ツアー中は舞台稽古やリハーサル、学校の勉強が重なる多忙な日々を過ごしていたが、加入後で一番「充実していた」と話す。

全国ツアーからは、メンバー同士の壁が低くなった気がします。元から人見知りする性格で、それまでは受け答えもどこか「あ、ハイ」みたいにぎこちなかったんです。でも、ツアーで東北地方や中国地方を回るようになり、一緒にいる時間が増えたので家族みたいになってきた気がします。チームとしての団結力もついたし、プライベートでは、お買い物やお泊まりもするようになりました(笑)。

自分ならではの個性

16年10月、卒業を発表した橋本奈々未を「大好き」と公言していた伊藤。実際に卒業の話を聞いたときは驚くよりも「ついに来ちゃったか……」と寂しさを感じたと明かす。

今の私の課題は、他のメンバーと比べて飛び抜けた何かが見つけられないところです。例えば、(川村)真洋さんは歌がうまいと言われたり、(斉藤)優里ちゃんは苦手なダンスがむしろかわいらしかったり、得手不得手にかかわらず、個性があるのはやっぱり武器だと思うんです。

私は歌もダンスも、「こなせているけど個性がない」と言われるのが悩みなんです。だから歌かダンスか演技か、どれかひとつをとことん磨くべきかどうかを模索しています。

武器を持つ大切さを教えてくれたのは先輩たちだし、特に、卒業が決まった(橋本)奈々未さんの存在は個人的に大きくて、心の中では「早く追いつきたい」という思いから背中をずっと見てきました。実は、奈々未さんから「何でもそつなくこなせるのは大変だね。でも、純奈は面白いからバラエティとかで、もっと前に出たほうがいいよ」とアドバイスをもらったこともあったんです。その一言でだいぶ気が楽になったし、それからは、気負うことなく素の自分を出そうと思えるようになりました。

奈々未さんが教えてくれたことを生かすためには、やっぱり、何よりも自分の殻を破らないとダメなんですよね。11月にあったラジオの公開収録では、にぎやかさを見せたかったから勇気を出してメンバーの発言にツッコんでみたり、わずかですけど成長を見せられたかなと思います。

15年は「今は頑張り時だけど、我慢していたら16年はきっといいことがある」とずっと自分に言い聞かせていました。実際に16年を過ごしてみて、振り返るなら75点かな。でも、優里ちゃんや(樋ロ)日奈みたいに何でも相談できるメンバーがいたり、舞台を一緒に経験したみんなとは新しい絆も生まれて、支えられる機会が増えた気がします。

17年こそは100点を日指せるように、まずは一歩前のポジションへ立てるよう、自分の見せ方や発言力をもっと鍛え上げていきたいと思います。