グループの外と内をつなぐ役割になれたらと思っています

個人でも舞台に出演し、確かな演技力で存在感を発揮する井上小百合。2016年の3月から5月にかけて、『帝一の國 – 血戦のラストダンス』『飲みかけで帰ったあの娘』『じょしらく弐〜時かけそば〜』と立て続けに舞台立った。

2016年の上半期はずっと舞台があって、稽古場にこもっぱなしだったので、ちょっとした浦島太郎状態でした。久しぶりに稽古場の外へ出たら、「もう夏が来たんだ」みたいな(笑)。長時間の稽古だったので、冠番組に出演できなかったり、歌収銀では、ほかのメンバーが私のポジションの代わりに入ってくれたこともありました。

複雑な気持ちもありましたが、いただいたお仕事は一生懸命取り組みたいし、外の世界で結果をのこすことで乃本坂46に還元できるのではと思い、舞台期間中は個人として頑張ろうと思っていました。

アイドルが舞台に立つと、どうしても「そもそも、ちゃんとできるの?」という先入観を持たれてしまう気がするんです。舞台を見に来てくださるお客さんの中には、そこで私のことを初めて知る方もたくさんいます。でも、私は、今までアイドルに興味がなかった方たちにも振り向いてもらいたいし、「アイドルもすごいんだね」と認めてもらいたい。そのためにも、これまではアイドルが出なかったような舞台にも積極的に挑戦していきたいです。そして、アイドル活動と同時に舞台にも立つことで、グループの外と内をつなぐ役割になれたら、と思っています。

今年はいろいろな舞台に立たせていただいたことで、役者の方たちとの交流も増えました。『すべての犬は天国へ行く』で知り合った猫背(椿)さんと柿丸(美智恵)さんと食事会をしました。大先輩のお2人に質問をしたり、私のお芝居へのアドバイスもいただきました。「なるほど」と勉強になることや、「そう見られていたんだ」という新しい発見もたくきんあって、ますますお芝居にのめり込んでしまいそうです。お2人には「一度ハマったらこの世界は抜けられないよ」って言われました(笑)

自分のやりたいジャンルも明確になりました。これまでは「なにか表現したい」という漠然とした気持ちだったのですが、いろいろ経験して自分にはコメディーが合っているのかな、と。「どんな動きと間合いが笑ってもらえるかな」と考えながらお芝居をするのが楽しいんです。女優になりたいと思ったきっかけが「大人計画」さんの舞台だったので、自分にとっての原点は、やっぱり「誰かを笑顔にさせたい」ということなんですよね。

2016年は、憧れの特撮ドラマに出演させていただいたし、『行くあてのない僕たち』というショートムービーに参加できました。そして、舞台だけでなく、映像作品にも携わりたい、という気持ちが強まりました。正直、映像のお芝居は難しいと感じることが多いのですが、でも苦手だからこそ映像にも挑戦したいと思っています。

偽りない自分を出す

充実した日々を過ごしたように見えるが、井上は2016年の乃木坂46での活動を振り返り、「苦しい時期もあった」と打ち明ける。

15thシングル『裸足でSummer』では選抜メンバーに選ばれませんでした。自分なりに頑張ってきたつもりだったのですが、結果につなげることができなくて。「顔を上げて前へ進もう」と声をかけられても、どっちが前なのか分からず、霧の中を歩いているような感覚でした。

でも、今振り返ってみれば、忍耐の時期だったのかなと思うんです。苦しい経験を通して、いろいろなことを学ぶ期間だったのかなって。あの期間があったからこそ今があるので、決して無駄ではなかったのかなと思います。

そして、つらかった時期に、今まで以上にファンの方たちの支えを感じました。今までは「アイドルは、どんなときでもファンを楽しませる存在でなければいけない」と思っていて、弱音を吐いたり、ファンの方に頼ることができなかったんです。でも、そんな私の気持ちを汲み取ってくれて、握手会で「ひとりじゃないよ」と言いに来てくださった方もいました。

ファンのみなさんが「井上小百合はこういう人間だ」と深く理解してくださって、私も「”さゆにゃん”ではなく、本当の井上小百合を知ってもみなさんに嫌われないだろうな」と思えたからこそ、偽りない自分を出せるようになりました。そして、ファンの方には「心の支えになってもらいたい」と素直に言えるようにもなりました。

たくさんの方の支えとつながりを感じることができた、そんな1年間でしたら。