不器用なほどまっすぐで、豊かで繊細な感性を持つ情熱家。そんなイメージのある若月佑美。2016年の年始のブログで「今年は本気で勝負の年として行くつもりです」と決意表明をした彼女に、この1年間を振り返ってもらった。

どんな小さなことでも構わないので、勝負を続けたい

毎年「勝負の年」って言っているような気がするんですよ(笑)。目標を達成できたとしても、結局、何かしら課題や反省点はあって、その次の目標が出てくるじゃないですか。ゴールがない世界なので。でも、2016年を振り返ると、自分的には「勝負した年」だったかなと思います。

今年は『じょしらく弐〜時かけそば〜』と『嫌われ松子の一生』の2本の舞台に出させていただきましたが、私のなかの課題はコメディでした。以前『16人のプリンシパル』に出たときにもコメディは難しいなと感じ、苦手意識がありました。そして『じょしらく弐』は笑いをテーマにした作品なので、白分の壁を壊すチャンスだと思い、「ここは勝負だ」と出演を志願したんです。

天然っぼい役柄で、自分がボケるところもあったので不安でしたが、まずは恥を捨てて演じ切ることを意識しました。ちょっと変な動きや表情など、スベるようなことでも逆に振り切ったほうが面白いと思りて、稽古中から全力でしたね(笑)。細かい仕草でも「あの子、アホだなー」みたいな感じを出せたんじゃないかと。お客さんにも笑っていただけたし、殻を破ることができたと思います。

『嫌われ松子の一生』も自分にとって「勝負」の舞台でした。有名な作品ですし、過激な内容なのでプレッシャーも大きかったです。松子は、感情の赴くままに行動するタイプの女性。怒り、叫び、わめき、暴れる……みたいな感情表現が激しい人なんです。アイドルのお仕事をしているときは笑顔の割合が多いので、この舞台では普段あまり出さない感情を爆発させないといけない。松子を演じるうえで、自分のなかの感情をどれだけさらけ出すことができるかが「勝負だな」と思いました。

怒鳴り散らしたり、泣き叫んだりすることが多い舞台だったので、毎公演が終わるたびにフラフラ。舞台期間中はごはんを食べるのもつらいほどでした。でも、苦しかったけど、こんなにも深く作品のことを毎日考えて過ごしたのは初めてで、本当にいい経験をさせていただきました。

お芝居への取り組みも変わったと思います。私は「こうあるべきだ」と考えて、きっちりやりたいタイプの人間なんですけど、お芝居ではそれ以上に大事なものがあるんだな、ということに気づいたんです。以前までは「キャッチボールは、相手にまっすぐボールを投げるものだ」と考えていました。でも、いろいろな役者の方と出会い、演出家の方の話を聞いていると、「実はキャッチボールってもっと自由なんじゃないかな」と思ったんです。上に向かってふわっとボールを投げてもいいし、バウンドさせてもいい。お芝居をもっと柔軟に考えることができました。2017年は、まっすぐなボール以外も投げられるようになりたいので、悪役とか、周囲をかき回すような役にも挑戦して、お芝居の楽しさや深さを追求したいです。

表現の幅を広げたい

舞台以外にも若月が積極的に取り組んでいるのが「アート」だ。美術展覧会『二科展』のデザイン部門に5年連続で入選を果たすなど、その才能を発揮している。

毎年、個人で『二科展』に応募しているんですよ。2016年は、中・高生を対象にした『キャンパスアワード』という絵画コンテストの審査員もさせていただき、2017年にはデジタルアート『食神さまの不思議なレストラン』展のナビゲーターを務めます。「若月はアートに興味がある」ということを、たくさんの方が知ってくださるようになったので、もつと自分からも発信できるようになりたいです。時間があるときは、家で絵を描いているんですよ。ペンタブレットで描いたり、スケッチブックに描いたものをスキャンしたり。けっこう描き溜めているので、いつか個展が開けたらいいですね。メンバーとの合同開催でもいいので。メインは(西野)七瀬(伊藤)万理華のコーナーで、私は隅っこのほうの小さいコーナーでも構わないです(笑)

舞台はもちろん、写真を撮られることや絵を描くこと、とにかく「表現」をすることが好きなので、これからもいろいろなジャンルのお仕事に取り組んで、自分の表現の幅をもっと広げていきたいなと思っています。そして、どんなに小さなことでも構わないので、2017年も「勝負」し続けたいですね。