ツアー不在の悔しさと演技の奥深さを感じた1年

――初のミリオンヒット誕生など乃木坂46が大いなる飛躍を遂げた2016年。しかし、そのキャプテンである桜井玲香にとっては悔いの残る1年でもあった。体調不良で「真夏の全国ツアー2016」に不参加。ファイナルの神宮球場ライブで復帰はしたものの、大事な時期に戦列を離れざるを得なかった負い目は大きかった。

厳しいスケジュールでみんなが一生懸命に練習してツアーに臨んでいるのに、私は休むことしかできなかったのは心苦しかったし、中し訳ない気持ちでいっぱいでした。皆さんの前には1ヶ月くらい出られなかったんですけど、実はその間も神宮に向けての準備はしていたので、実質休んでいたのはちょっとなんですよ。とはいえ、外からはキャプテン不在に見えてしまうし、グループに傷をつけてしまったなと。ただ、乃木坂46は誰かひとりに引っ張られているようなグループではないので、私がいなくても大きく崩れることは絶対にない。それが分かっていたし、メンバーのことも信頼していたから休めたというのはありますね。

2016年はまいまい(深川麻衣)が卒業し、ななみん(橋本奈々未)も卒業を発表するなど乃木坂46にも世代交代の波が来ていることを実感させられた1年でした。皆さんは心配されるかもしれないけど、私は全然大丈夫だと楽観視してるんですよJグループのカラーは変わらず乃木坂46としてあり続けるんだろうなって。

アンダーメンバーも16年に入ってますます個人の仕事も増えて、認知度も上がってきました。一時期は同じグループ内で選抜とアンダーのカラーがはっきりと分かれてしまうことに危機感を抱いていたんですが、今はその違いが乃木坂46というグループの個性になっている。明確な色の違いがありながらも、その2つが自由に交わることもできるんです。アンダーメンバーはアンダーライブを重ねることで自信をつけて、単なる選抜への対抗心とは違う自立したプライドを持つようになったのかなと思います。

2016年に人った3期生は、今まで乃本坂46が好きで応援してくれてた子たちです。乃木坂46の魅力が何かを一番分かっているから心配はいらないと思います。ただ、初期の私たちと比べるとすごく大人っぽいんですよね(笑)。多分、私たちが大人になったから、今の乃木坂46に憧れて、引っ張られているのかな。若いんだけど大人っぽいというのは、新しい乃木坂46のカラーになっていくのかもしれないですね。

もっと演じる機会がほしい

――復帰後には大きな仕事が待っていた。若月佑美とのW主演で臨んだ舞台『嫌われ松子の一生』だ。女優志望の桜井にとって、壮絶な人生を送ったひとりの女性の生涯を舞台で演じることは、これ以上ない学びの場だった。

『嫌われ松子の一生」はいろいろな反省が重なって、あまりいい思い出としては残っていないんです。改めて演技をやっていきたいという気持ちは強まったんですけどね。それ以上になぜもっと役柄に沿って、汚く演じられなかったんだろうという後悔が強すぎて……。普段の暮らしでは絶対経験できないようなことを演じるのが芝居の楽しさではあるんですけど、やはり技術がないとそれを表現することはできないんだと思い知らされました。私には人生経験も役者としての場数も足りなすぎる。そういう意味では、もっと演じる機会がほしいなと強く思いました。

若月の存在には本当に助けられました。私たち以外はべテランの男優さんばかりで、しかもあの重い内容。ひとりだったら乗り切るのは難しかったかもしれません。同時に女優としての若月のすごさも身近で感じられた。同じ台本、同じセリフなのに表現する感情がこんなにも違うんだって、若月の演技を見たときは驚きました。私が怒るのに彼女は泣く。そういう根本的な違いが出る2人だったんですよ。そして、若月のほうが正しいんじゃないかと思う演技をするから、無意識にそっちに引っ張られちゃう。それも悔しかったですね(笑)

2016年は女優業ではいい経験を積めたけど、乃木坂46のキャプテンとしては空白期間もあって、正直微妙な1年でした。ただ、だからこそ客観的に乃木坂46を見られた年でしたね。みんなの頑張りもグループ自体の勢いも。すごくいい感じだけど、まだ圧倒的な強さはないような気がする。2017年は東京ドームでコンサートがしたいですね。乃木坂46のメンパーとしてでないと絶対に立てないステージだと思うので、経験してみたいんです(笑)