NGT48の初シングル『青春時計』のセンターに中井りかが選ばれた日、加藤美南は不安そうに泣き崩れる中井に寄り添い介抱した。グループのお披露目時のセンターに抜擢され、類稀なる身体能力から注目も浴び、選抜にも選ばれ、そして昨年の総選挙ではランクインもした加藤。彼女もセンターを目指していただけに”悔しい”という思いに溢れていたはずなのに、なぜそのような行動ができたのか?2人のライバル関係が新潟全体の団結力を深め、きっとNGT48を新しいフェーズへと導くはず。

ライバルがいるから

――まずはデビューシングル『青春時計』の大ヒットおめでとうございます!

加藤 ありがとうございます!

――ようやくCDデビューが実現したことでグループにポジティブな変化はありますか?

加藤 NGT48は同じ1期生しかいないグループでずっとまとまって活動してきましたが、CDデビューしたことによってみんなの気持ちがまたあらためてひとつになれた感じはありますね。

――グループに貢献したいという気持ちが強くなってきた?

加藤 そうなんですよ!いままでは「自分が自分が」みたいな感じだったんですけど、最近はグループのことをすごく考えるようになりました。公演でも周りが見えるようになってきた気がします。

――いいですね、充実感が伝わってきます。

加藤 はい!あ、でも総選挙のことを考えるとちょっと(笑)

――アハハハハ。デビューシングルでセンターに指名されなかったことについては相当ショックを受けていたようですが……気持ちの切り替えはできましたか?

加藤 センターが発表されたときはすごく悔しい思いをして……こうしてデビューの日を迎えるまで本当につらかったです。グループで「青春時計」のインタビューを受けていてもやっぱりセンターの(中井)りかに質問がいくことが多くて「あぁ、やっぱりセンターになりたかったな……」と思って泣いてしまったり。でも、そういうときに周りのメンバーが私の気持ちを察して一緒に泣いてくれるんですよ。私の悔しい思いが他のメンバーに伝わっていたことがわかって、この感情を自分のなかだけで抑えなくてもいいんだって思えるようになりました。

――加藤さんは今年1月29日の生誕祭のときに新しい目標ができたと話していましたよね。これからは中井さんを支えてセンターじゃなくても自分のポジションがどこよりも目立つと言ってもらえるようにがんばる、と。

加藤 あのときはセンター発表から1週間ちょっと経ったころで、もうなんとか気持ちを切り替えようと必死だったんです。だからそういうふうに言ったとは思うんですけど……本当は嘘です(笑)

――フフフフフ……嘘ですか?

加藤 はい、すいません(笑)

――嘘というか、自分に言い聞かせていたような感じだったんですね。

加藤 そうなんです、無理矢理にでも気持ちを切り替えないと、とてもじゃないけど自分がもたないと思ったので。だからグループのことを考えるために一歩引いて自分の新しいポジションを築き上げられたらって思うようにして。でも実はぜんぜんそんなことはなくて、やっぱりいまでも目指しているところはセンターなんです。私、本当はセンターの隣ぐらいにいたほうがためらいなく自分を出せることはよくわかってるんですよ。ただ、前に出ていきたい気持ちを追求するためにもやっばりポジションはセンターにこだわりたくて。新潟県民として、NGT48のセンターを守りたいという気持ちが強いです。

――以前中井さんにインタビューをしたんですけど、彼女は加藤さんがセンターに強いこだわりを持っていることを知っていたから、自分がセンターに選ばれたときに思わず「ごめんね」と言ってしまったことを後悔していると話していました。

加藤 そう!ステージで私が泣いてたときに「なんで私なの?ごめんね」って。

――「ごめんね」と言われたときはどんな気持ちでしたか?

加藤 うーん……でも「ごめんね」と言われて「なんで?」とは思わなかったですね。その言葉によって、りかがこれからセンターとしてNGT48を引っ張っていくことを教えられたというか。「ごめんね」って言われなかったら、きっとお互いの気持ちも届かないままだったと思うんです。りかと私は最終的に目指している場所は違うかもしれないけど、お互いのセンターに対する気持ちやこだわりをぶつけられたのはすごく良かったなって。それによって、いろいろと相談し合える仲になれたんです。

――中井さんは、自分がセンターに指名されたとき手を差し伸べてくれたのが加藤さんだったとも話していました。

加藤 あのときは本当に悔しくて、もう崩れ落ちそうだったんですよ。でも、それをファンの方たちが見たらどう思うかなって考えてどういうふうに見えたら新しいNGT48を応援してくれるだろうって考えたとき、自分が悲しんでる姿なんて見せられないと思ったんです。だから、新しいNGT48を見せたいという一心でりかのところに行きました。

――あの状況で咄嗟のその判断は……すごいですね。

加藤 自分でもびっくりしました(笑)。あのときはそういう覚悟ができていたんだと思います。

――真ん中に立つ者の気持ちが理解できるからこその行動なんでしょうね。

加藤 そうかもしれないですね。りかをいちばん支えられるのは私だと思ったので。

――いま加藤さんにとって中井さんはどんな存在ですか?

加藤 NGT48について、いちばん深く話せる仲になりました。りかと私は本当に同じ経験をしてきているから、ふたりにしかわからないなにかがあるんじゃないかと思っていて。りかとはいちばんご飯に行ってますね。でも、ただ遊んでるだけじゃなくて言い合うときは本気で言い合うし。選抜メンバーでメディアに出るときの立ち振る舞いや劇場公演の状況についても情報交換しています。

――お互いに高め合ってるような関係というか。

加藤 そうですね。私はライバルがいないとがんばれないタイプなので。

――加藤さんはバトントワリングをやっていたころにも互いに切破琢磨していたようなライバルがいたんですよね?いまの加藤さんと中井さんのお話を聞いていると、それと重なるところがあるというか。

加藤 そうなんです!同い年で本当に仲が良くて、でも大会になるとまったくしゃべらなくなるようなライバル関係の友達がいて。そのコとはずっと勝ったり負けたりだったんですよ。だからバトンの選手生活から離れてNGT48に入ったときはちょっとは楽になれるかと思ったら、りかが現れてまた同じような境遇になっちゃって(笑)

――アハハハハ。

加藤 気づいたらいるんですよね、そういうライバルが。

――そうやって競争の場に身を置くことが性に合ってるんでしょうね。

加藤 はい、大好きです!

――おー、大好きですか!

加藤 もしこの世界で競争相手がいなくなったら、きっと新しいライバルを求めて別の分野に行きたくなると思います。違うフィールドに行って、そこでまた自分を試してみたい。だから、もしNGT48を卒業する時がきたら私は海外に行って誰も助けがない状態で一人で生活したいと思っていて(笑)

――フフフフフ……そんな感じなら48グループとの相性はばっちりですね。

加藤 はい、入ってから気づきました。こんなにも競争社会なんだなって(笑)。

リーダーてセンター

――自分から積極的に厳しい環境に身を投じていくタイプなんですね……そういえば、NGT48の初の単独コンサートで加藤さんは尊敬する高橋みなみさんの『愛しのアクセル』をパフォーマンスしていたじゃないですか。あのバトンのパートは完全にアドリブだったそうですね。

加藤 そうなんですよ!当日も含めて10回ぐらいリハーサルをやったんですけど、どれもしっくりこなくて……結局、最後までどういう構成にするか決められなかったんです。で、振り付けを決めてしまうと想定範囲内のパフォーマンスにしかならないし、きっとファンの人にも予想できちゃうだろうと思ったから、もうこうなったら自分でもどうなるかわからないようなステージにしてみたいなって。

――そう、加藤さんはいつも自分に高いハードルを課していくんだなって思ったんです。

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