乃木坂46のキャプテンとして、時にユルく、時に真剣にグループを牽引する桜井玲香。2017年に入ると、3月に初のソロ写真集『自由ということ』を発表したほか、9月には西野七瀬白石麻衣らと出演する映画『あさひなぐ』の公開も控えている。この日の彼女は撮影に対して、非常に積極的で、撮られることを楽しんでいるように映った。数年前、彼女に取材した際、「写真を撮られることが苦手」と言っていたが、その意識に変化があったのかと尋ねてみた。

いえいえ、今でも苦手ですよ(苦笑)。今日みたいに1人のときはいいんですけど、メンバーと一緒の撮影はいまだに苦手。自分の中で制限がかかる感覚があるんです。

それは、グループ全体を俯瞰で見て引いてるという意味ではなくて。1人だと「じゃあこうしてみよう、ああしてみよう」と素直に思えて行動に移せるんですけど、2人とか3人とかになっちゃうと、相手とのバランスを気にしなきゃいけなくなって、一気に動けなくなっちゃうんです。

かといって、それを意識的にやっているわけではなくて、無意識のうちに引いてしまっていて。今も、一緒にいる相手より前に出ようと思うことはまずないですね。

その感覚は、芸能界に入る前から持っていたものなのだろうか。

この世界に入ってからですね。そもそも、この世界に入る前は誰かと競うことがなかったので。学生時代も何かで競うといったらそういうスポーツか勉強かだけど、別に部活もやっていなかったし、勉強も別に競うとかそういう感覚がもともとなかったし。

この世界に入ってからは人と比べられるのが仕事のひとつでもあるし、そのためには自分自身が武器になる。だから他の人を余計気にするようになったんだと思います。

でも…グループの中で考えたら、そういうことも必要かもしれないけど、1人で外の世界に出て行ったとき、その考えがちょっとマイナスに働くことがあるかもしれないなと思っこともあります。

桜井の言うように、乃木坂46というグループの中なら、キャプテンという立場的にバランスを取って一歩引くことも求められるだろう。しかし、桜井が思っている以上に、彼女は外の世界でも十分に前へ前へと出ているはずだ。昨年秋に上演された舞台『嫌われ松子の一生』(若月佑美とダブルキャスト)でも、自分以外のメンバーが出演しない中、堂々とした演技を見せていたのだから。

本当ですか?なら良かった(笑)。でも……昨年は2本の舞台(『じょしらく弐 〜時かけそば〜』『嫌われ松子の一生』)に出演させてもらいましたけど、私の感覚的にはなかなか納得できない部分もあって。

こんなこと言ったら観に来てくださった方に申し訳ないんですけど…その時の自分としてはあれが精一杯の限界までやった上での本番でした。でも今思い返すとなかなか納得できないなって思うこともあって。

もちろん、いろんなお仕事をやりながらの準備だから、舞台だけに集中できなかったというのはあります。でも、それを言い訳にしたくないし、そんな状況であってもちゃんと、満足いくレベルまで自分を持っていけないことが、本当に悔しくてたまらないんです。

筆者も昨年の『嫌われ松子の一生』を観劇したが、あそこで見せた彼女の演技には強く感銘を受けたし、この人は演技の世界に進んで、生き残っていく人なんだろうと実感したのをよく憶えている。確かに稽古期間から上演期間まで、その舞台だけに集中したいという気持ちも理解できる。しかし、観る側としてはそんな不満が感じられないほど、素晴らしい演技だったと断言できる。

ありがとうございます。うん、全く手は抜いてないつもりではいるんですけど。最近はそこが悩みですね。でも、今の乃木坂はそういう、限られた時間の中で最高のものを創るという時期に入ったのかもしれないですね。時間をかければ、そりゃあ良いものになるかもしれないけど、与えられた時間の中でベストな状態に自分を持っていくのも、またプロの仕事ですものね。

桜井の言うように、結成6周年を目前にした乃木坂46に求められるものは、そういったことなのかもしれない。特にここ数年、彼女たちに求められる合格点はどんどん高くなっているし、もちろんその合格レベルを軽く超えるような結果を、ここまで何度も見せてくれた。それはグループのみならず、個人のソロ仕事でも同様だ。そういった実感や手応えについて、意見を求めると。

うーん……正直あんまり感じられてなくて。それは今言っていただけたように、いろんなお仕事において合格点とか平均点とか、求められているそもそもの基準値というのが上がってきた中で、私たちも常にそれをクリアできるくらい実力がついてきたということなのかなとは思います。

もちろん、いろいろなお仕事に取り組むことができて、自分のモチベーションにもなっていきますが、でも、そのぶん自信がなくなっていくこともあるなっていう。

そういった自信を得る機会が最近あったのかと訊くと、「自信は本当にないんで(笑)」と答えつつも、3月に発売されたソロ写真集『自由ということ』を撮影したことは大きな手応えになったと明かす。

あの写真集で自分の出し方を学べたし、実際に自分を出すことができたと思うんです。たぶん今日の撮影でも動けたのは、写真集での経験があったから、前よりも積極的に動けるようになったと思うし。

そういうふうになれたのは、私と一対一で向き合ってくれるカメラマンさんやスタッフさんがいて、その人たちに対して受け身なだ けじゃなくて、「私はこういうのが好きです」とか「こういうのをやりたいです」とか意見も言わなくちゃいけなかったから。やっぱり世に出回る写真集ってことで、一人でも多くの人に見てもらいたいっていう気持ちも、今までで一番強かったし。だったら、どうしたら良いものになるかってことまでも、自分でちゃんと考える。そういう機会を与えてもらえたことが、本当に大きくて。ひとつの作品に対して、自分が最初から最後まで関わったっていう経験は、本当に大きな手応えになったと思うんです。

今までそういうお仕事ってなかなかなかったし、こんなに私ひとりにスポットを当ててもらうこともなかったので、すごく良い経験になりました。

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