山下 だから、まわりからも「月と太陽」って言われてたんです。久保ちゃんは静かに立っていても輝いている月みたいな存在で、私はギラギラ燃えている太陽みたい、って。自分でも『プリンシパル』を終えるまで「私たちって真逆だな」と思っていたんですけど、そのあとの3期生ライブの準備期間で私もだんだん素を出すようになってきて。私、人前で絶対に泣きたくないと思っていたんですけど、『プリンシバル』が終わってからいろいろ崩壊しはじめで、素を出すようになってから……久保ちゃんとは根の部分が一緒なんじゃないかな?って。

――本質的には似ているんですか?

山下 私も本当はネガティブだし、裏ではめっちゃ弱音を吐くし、部屋ではずっと下を向いて泣き叫んでるし(笑)。

――えっ!? 山下さんの方が病んでるじゃないですか!(笑)

久保 人のことあれだけ言っといて!?(笑)

山下 ははは(笑)。でも、久保ちゃんは、そういう弱い自分と真正面から戦っているタイプだと思うんです。ただ、私の場合、もう一人の自分を作って、違う人間に乗り移ってるみたいな感じなんですよ。

――ステージに立つ時は、ってことですか?

山下 アイドルとして活動する時は、違う人間になっているような感じがして。でも、そういうのをすべて外しちゃったら、ネガティブで人付き合いの苦手な人間なんです。

久保 たぶん、すべて外して友だちとして学校で出会ってたら、まったく同じタイプだと思う!

山下 わかる!

久保 絶対同じだよね。

山下 私、プライベートで超声小さいんですよ(笑)。

――え!? 久保さん並に声が小さいんですか?

山下 めっちゃ細々としてて小さいんですよ。それに、夜は自分の部屋で繭玉を30個くらい並べて、それにずっと顔を描いてて……。

――なんの儀式ですか!

久保 怖い怖い怖い!怖いよぉ……。

山下 でも、乃木坂46に入ってからは「こういうアイドルになりたい」というのがあるから、自分をその理想に近づけています。でも、久保ちゃんはそのままの自分と向き合っているような気がするんです。

――本質は似ているけど、アイドルとしての表現方法がそれぞれ違うということですか?

山下 そうです。お互いに、弱い自分への対応の仕方が違うだけで、同じことを考えてるし、グループに関して思っていることや今の3期生に対して思っていることは一緒の部分が多いんです。

久保 本当にそう。だから、最近は私もやましーに心を開いて、悩みを聞いてもらったりしています。

山下 意識の持ち方も含めて、ほとんど一緒なんじゃないかな。

――まさにシンメのポジションのように、お互いが映し鏡なんですね。

本当の自分

――じつは似ているのかもしれないですが、パッと見の印象は全然違いますよね。やっぱり、山下さんはギラギラした「太陽」のような人に見えます。

山下 けっこう誤解されます。顔の印象もあると思うんですけど、しゃべり方とかいろいろ含めて「プライドが高そう」とか「性格がきつそう」とか、どちらかといえばヒール役のように思われることが多くて。本当は、正統派っぽくいきたかったんですけど……。

久保 いや、いけてるよ。

山下 なんか……変人みたいな。

久保 ふふふふ。

山下 自分が思っていたキャラと違ってきちゃいました。

久保 『プリンシパル』の自己PRでいろいろやりすぎたせい?

山下 たぶんそう……。

――サンシャイン池崎さんのマネでハイテンション自己紹介をしたりしてましたね。

山下 でも、中身は普通の女子高生なんですよ。

久保 それは本当に思う!

山下 メンバーにも「外ではアイトルアイドルしてるけど、楽屋ではめっちゃJK」って言われて。

――さきほど山下さんが言っていた「アイドルとして活動する時は、違う人間になっている」からですか?

山下 部屋にいる時の私、友だちやメンバーと一緒にいる時の私、ステージに立っている時の私、その3つのキャラが存在するんです。部屋ではずっと下を向いて落ち込んでいて、楽屋ではギャグを言ったりワイワイ騒いでいて、ステージではアイドルとして振る舞っていて。でも、どれが太当の自分とかじゃなくて、どれも自分なんです。理想のアイドルになりたい自分がいるので、その使い分けは絶対にしたいと思っています。

久保 やましーは「アイドルはこうあるべき」っていうのがあるから、自然と切り替えができるんですよ。そこがプロだなって思います。

山下 楽屋だとやばいよね?

久保 やばい(笑)。

山下 モアイ像みたいな顔してます(笑)。あと、レッスン中の顔も……。

久保 真顔で『裸足でSummer』踊るんですよ(笑)。真顔で踊っているので、鏡越しに目が合うと怖い!

山下 「ガン飛ばしてる」ってめっちゃ言われて。

久保 あははは。

――でも、10代の女の子がヒール役のイメージを持たれる、って耐えられないほどつらくないですか?

山下 最初は「なんでそんなふうに思われちゃうんだろう?」とか「どこを直せば本当の自分をファンの方にわかってもらえるんだろう?」って悩んだりもしました。でも、そういうイメージを持たれるのを悪いことだと捉えずに、それも自分のキャラにしちゃえばいいんじゃないか、って最近思うようになってきて。見た目は怖そうに見えても、しゃべったら案外そうでもなかった、というのを自分の長所にしちゃえばいいんじゃないか、って。

――相当な覚悟がいることだと思いますが……。

山下 でも、そこをずっと否定していても、自分を越えていけないと思ったので。3期生はアイドルっぼいルックスの子や年下の妹っぽい子も多いけど、だったら私は目つきギラギラ系でいこう!って。

――それでいうと、久保さんは「乃木坂46らしさ」にあふれたメンバーのような印象があります。

山下 そうですよね。正直、めっちゃ羨ましいですよ(笑)。すこし陰があって、おしとやかで、本当に恵まれすぎてません?

――乃木坂46の申し子的存在ですよね。

山下 私は乃木坂らしくなさすぎて……。

久保 いやいやいや(笑)。

山下 でも、久保ちゃんは乃木坂46のイメージに合ってるなって思う。

久保 よく「乃木坂らしさがあるね」って言っていただけるんですけど、どうしてなのか自分では本当にまったくわからなくて。「乃木坂らしさ」っていうのがどういうものかというのも、全然理解してない……。

――久保さんのおしとやかで、ちょっと儚げなところが乃木坂46のイメージと重なるんですかね。

久保 もちろん「乃木坂らしい」って言っていただけるのは本当にうれしいんですよ。ただ、そう言っていただけることで「乃木坂らしくいなきゃ」と思っているわけでもなくて。自分からイメージに寄せていきたくない、というか。たとえば、「優しそうだね」って言われて「優しくいなきゃいけない」と思うのは違うような気がして。そうじゃなくて、自分をしっかり持っていたいんです。「乃木坂46のメンバーの1人としてこうありたい」というイメージもあるけど、そうある前にまずは自分自身を捨てずに、素の自分を出していこう、という思いで今までずっとやってきたので。

山下 めっちゃわかる……。私が「乃木坂らしくない」って言われるのは、たぶん『プリンシパル』のイメージが強いからだと思います。久保ちゃんが自分の実力で訳を勝ち取っていくのに対して、私は「やる気!」「熱意!」みたいな(笑)。

――そういう闘志むき出しのところや、ガッツあふれるところが山下さんのよさだと思いますけどね。

山下 「気合い」で役を勝ち取ろうとしてるガチな奴、っていう印象だったと思います。でも、来てくださった方に見つけてもらうにはどうしたらいいだろう?って考えたうえでのああいうパフォーマンス……自分のなかでは、あれはパフォーマンスだったんです。そういう私の姿を見て「乃木坂らしくない」っていう方もいたけど、だからといって、自分を曲げたくなかったんです。先輩方からも「初期の頃、『プリンシパル』でみんな本気で泣き叫びながらぶつかり合ったから、今の乃木坂ができたんだよ」という言葉を聞いていたので。だから、自分はこれでいいんだ、って思えたんです。

久保 舞台に上がった瞬間、なにかが吹っ切れたように変わるやましーの姿を見て、私ももっと自分をさらけ出していけなきゃいけないんだ、って思いました。「私なんて……」みたいに閉じこもっていないで、もっと外に向けて自分を出していかなきゃいけないと思えたのは、本当にやましーのおかげなんです。

山下 そんな……うれしい。

次のページへ